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ダイヤリ
by naniwametal


ヨーランディがYOUに見え(ry …つか“テンション”て!


 KADENZZAこと大島雄一をニュー・ギタリストに迎えた新生SIGH。その頭脳にして中枢──この4月にリリースされた最新作『GRAVEWARD』で、またまた世界中のHR/HMファンのド肝を抜きまくった川嶋未来のインタビューをお届けしましょう~。


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★ ☆ ★ ☆  S I G H Interview 2015 Part 1  ★ ☆ ★ ☆



 


 ●川嶋未来<Vo,key>
 ●Dr. Mikannibal<Vo,Sax>
 ●大島雄一<G>
 ●藤並 聡<B>
 ●原島淳一<Ds>


お:ニュー・アルバム『GRAVEWARD』のファンやプレスからの反応はいかがですか?

川嶋未来:反応はいつも通りです。「SIGHの最高傑作だ」という反応もあれば、「ガッカリした」というのもあるし。意外だったのは、「前作の『IN SOMNIPHOBIA』('12)よりもワケが分からない」という意見でした。明らかに前作よりはストレートで分かり易い作風を想定していたので、これをより実験的だと評されるのは、想像もしていませんでした。基本的には、『HANGMAN'S HYMN』('07)や『SCENES FROM HELL』('10)辺りを気にってくれていたファンは、今回のアルバムも気に入ってくれる傾向にあるようです。逆に、『IN SOMNIPHOBIA』の続編を期待していた方々からは、「これは違う」という反応が多いようで。
 リリース直後の反応って、個人的にあまり意味がないと思っているので、どうでも良いのですけど。『IMAGINARY SONICSCAPE』('01)を出した時は、半数が酷評でしたし。「ワケが分からない」って。ところが、今ではアレがSIGHの最高傑作という風潮になっていますからね。


         
        ▲『GRAVEWARD』(ルビコン:RBNCD-1189)


お:前作『IN SOMNIPHOBIA』('12)から3年とちょっと。新作発表までそこそこ期間が空きましたが、その間にメンバー・チェンジがあったのと関係がありますか?

川嶋:完全にメンバー・チェンジが遅れの原因です。『GRAVEWARD』のレコーディングを一旦開始したものの、石川(慎一:G)が送ってくるファイルが、ロクにチューニングも合っていない。このことについては、後ほど詳述しますが──それで、少なくとも『GRAVEWARD』に関しては、別のギタリストの力を借りようと決めました。しかし一方で、ライヴ活動もあります。こちらについても、正直なところ、'13年辺りから石川のモチヴェーション低下が酷く──本人に自覚はなかったかもしれませんが──結果、ライヴの出来も芳しくなく、どうしたモノかと思っていたのもあり、'14年4月の“INFERNO METAL FESTIVAL NORWAY”出演を最後に、しばらくライヴ活動を停止しようと考えました。『GRAVEWARD』のレコーディングをしつつ、石川を解雇し、新ギタリストを探すかどうかを含め検討する…ということで。
 それで──案の定、“INFERNO”でのライヴの出来も良くなくて、本当にこんな体制でライヴ活動を続けたくないと思っていた矢先に、そのノルウェーでEMPERORのマネージャーに、「7月に日本へ行くから、オープニングをやらないか?」と誘われたワケです。有難いお話ではあるけれども、現体制でのライヴはやりたくない。この時点では、大島(雄一:G)とも“ニュー・アルバムのレコーディングを手伝って欲しい”という話がついていただけですので、勿論、彼は旧曲は演奏出来ない。EMPERORのライヴまで3ヵ月しかない中で、果たして彼が、既存の曲を覚えて、ステージに立つところまでやってくれるのかどうか…。
 ところが、日本に帰ってから彼と話をしてみると、「是非やりたい」と。しかし、流石にその3ヵ月は「旧曲を覚えることに専念したいので、『GRAVEWARD』のレコーディングはストップさせて欲しい」とのことでした。それで、大島を加えリハに入ってみると、フィーリングもノリも驚くほどピッタリだったので、体制立て直しの件は、一気に解決したワケですが──その代わり、アルバムのレコーディングは後ろへズレ込むこととなりました。


     
      ▲石川慎一


お:しかしながら、石川慎一の脱退には驚いてしまいました。解雇とも聞いていますが、一体何があったのでしょう? 以前のインタビューで、「石川よりウマいギタリストは幾らでもいるが、彼の弾くギターは、イイ意味でも悪い意味でも独特で、他の人が弾いたら全く別モノになってしまう。やはり彼(とベースの藤並 聡)がいないとSIGHは成り立たない」といった発言をされていました。そんな思いも超えた問題が発生したのでしょうか?

川嶋:そんなの嘘に決まってるじゃないですか! インタビュー用の方便ですよ。まぁ、「彼の弾くギターは、イイ意味でも悪い意味でも独特」というのは、事実ではあるのですが、ここ数年は、“イイ意味:悪い意味”が“1:9”、もしくは“0:10”と言ってもいいような状況でしたので。“そんな思いも超えた問題”については、全部話すと、分厚い本1冊書けてしまうレヴェルなのですが、一番のキッカケは、やはりチューニングが狂いまくったファイルをレコーディング中に送りつけてきたことです。それも一聴して滅茶苦茶と分かるレヴェルのモノを。ところが、そのことを指摘したら、「チューナー2台使って確認しているので、チューニングは合っているハズだ」と。
 仕方ないので、Auto-Tuneを使って、どれだけチューニングがズレているか可視化して見せたのですが、酷いところは半音に届くくらいのズレがありました。当たり前のことですが、チューナーを使って開放弦の音を合わせても、オクターブ調整が出来ていなかったり、ネックが反っていたり、或いは弦を押さえる指に力が入り過ぎてチョーキング気味になっていたり…とか、ズレた音が出てしまう原因って、幾らでもあるワケです。彼はオモチャのような安物ギターをロクにメンテもせず、適当に弾いて、その自覚もなく、“完成品”を送りつけてくるのですから、これではどんなに真面目に良いアルバムを作ろうとしたって、こちらの努力なんて、全て水の泡に成りかねません。前はそこまで酷くなかったんですけどね。


 


 今だから言いますが、ギターを変えた方が良いんじゃないかという気持ちは、ずっとありました。勿論、SIGHはアルバムを何万枚も売ったりするバンドでは到底ないですが、ヨーロッパの大きなフェスからも声が掛かるし、アルバムもきちんとしたレーベルからコンスタントにリリース出来ているワケで、自分達が想定するバンド活動の水準というのは、満たしていると考えていました。活動内容自体に不満があったワケではない中で、敢えてギタリストを変えるというリスクを犯す必要があるかどうか。
 一方で、SIGHもこれでアルバム10枚目。我々ももう若くないですし、今後人生の中で、何枚アルバムを作れるか分からない。そんな中で、きちんとした音楽について、真面目に考えているギタリストと作品を作ってみたい…という気持ちも大きくなり、そこに上述のチューニング事件がトリガーとなったという感じです。まぁこれも、解雇を決断した理由の1割程度のことなのですけど。これ以上は公に出来ません。シャレにならなさ過ぎて。

お:後任のKADENZZAこと大島雄一は、どんなキッカケで加入に到ったのですか? 彼のことは以前からよく知っていたのですか?

川嶋:いえ、実は面識がありませんでした。『GRAVEWARD』のギターを手伝ってくれる人が誰かいないか…と考えていて、そう言えばKADENZZAってどうしてるんだろうと、ふと思ったんです。KADENZZAであれば、SIGHがやろうとしていることを理解してくれるかもしれない…と考えたのですが、ただ彼の活動というのは、それこそ10年近く聞こえてきていなかったので、音楽活動を続けているのかすら、よく分かりませんでした。とりあえず、インターネット上にはKADENZZAのページが残っていたので──とはいえ、かなり長期間放置されているっぽい感じでしたし、殆どダメ元でメールをしてみました。


      
       ▲KADENZZA


 そうしたら、意外なことに、即日返事があって、アルバムに参加してくれる…と。この時点では、石川の処遇をどうするかも未決定でしたし、勿論、大島がどの程度SIGHに時間を割けるかも、よく分かりませんでしたので、飽くまでレコーディングを手伝ってもらうというスタンスだったのですが──さっきも話した通り、その後あっという間に正式メンバーとして迎えることになりました。

お:『GRAVEWARD』の曲作りはいつ頃から始めましたか? その時点でアルバムの全体像は見えていましたか?

川嶋:何となくアイデアを書き溜め始めたのは、'12年の中頃だったと思います。僕らは基本的に、まずアルバムのテーマというモノを考えるようにしています。コンセプトというほどガッチリしたモノではないのですが、例えば『GRAVEWARD』の場合、当初考えていたのは、“昔のイタリア・ゾンビもののサウンドトラックのようなイメージ”“ヴィンテージ・シンセの多用”でした。

お:ファビオ・フリッツィからインスピレーションを得たとも聞きましたが…?

川嶋:ファビオ・フリッツィは、とても尊敬している作曲家なのですが、彼の作曲法というのは、クラシックのバックグラウンドがあるのは確実なのだけど、そこから大きく逸脱している部分も目立つので、どうやって曲を書いているのか、長いこと不思議に思っていました。それで、インターネット上で彼と話す機会があって、どういう手法を使っているのか訊いたんですよ。答えとしては、「こういう技法だ」というのはなかったのですが、作曲に対する心構えというか、考え方に深く感銘を受けて、それが『GRAVEWARD』の曲作りに大きく反映されています。
 ただ…まぁ、その後のアレンジメントは、当初の“ヴィンテージ・シンセ中心”というモノから、大きく外れてしまいましたが。「今ひとつパンチに欠ける」「もっとシンフォニックに」…なんてやっているうちに、際限がなくなってしまって。


 
  ▲川嶋未来


お:“GRAVEWARD”というタイトルについて、アルバム・カヴァーとの関連も含め解説してください。

川嶋:アルバム・タイトルは“墓場の方向へ”という意味なのですが、生物というのは、生まれた瞬間から墓場に向かって歩き始めているんだ…というイメージです。歌詞はいずれも、死というか、生の有限性というか…何というか、何ひとつ新しいところのない、使い古されたテーマです。アルバム・ジャケットだけではなく、ブックレット内のアートワーク、それから夏に出るLPヴァージョンでは、さらに歌詞に即したアートワークなども追加されるのですが、これらは全て、『GRAVEWARD』のイメージを完全に現前させています。
 『GRAVEWARD』のイメージと言っても、これを言葉で説明するのって、殆ど不可能なワケですよ。自分自身も、漠然と捉えている部分もあるし、勿論、自分で絵を描ければ良いのですが、残念ながらそんな才能はないので、誰かにお願いしなくてはいけない。しかし、「人間は誰しも、いずれ死ぬ。誰しも、墓場に向かって歩いているだけなんだ」なんて言葉にしたところで、これをアートワークにする方法なんて無限にあるワケでしょう。
 そして──この説明を聞いて、こちらが想定しているイメージに近いモノを思い浮かべてもらうというのは、容易なことではないワケです。なので、アートワークをお願いする時は、基本的な画力というのは当然なのですが、それよりも、明らかに自分と同じ世界観を有しているであろうアーティストを探すようにしています。今回、『GRAVEWARD』のアートワークをお願いしたコスティン・キノレアヌは、その点完璧というか、基本的なイメージを説明すれば、もう何も心配いらないような関係です。彼が過去に描いた絵や製作した映画などを見ると、どんなモノが怖いか、あるいは不気味と感じるか…というポイントが、完全に一緒なのが明白でした。


 
  ▲藤並 聡


お:今回、曲作りのプロセスは、これまでと同じでしたか? それとも、新しい方法を採りましたか? また大島加入は、曲作りやアルバムの方向性に影響を与えましたか?

川嶋:大島が加入したのは、既に曲が完成していた後だったので、曲作りという意味では、これまでと同じです。勿論、大島がギターを弾くにあたって、彼自身でアレンジを施した部分はありますが。いつも通り曲を書いて、MIDIに打ち込んで聴き、アレンジや構成面をいじって、改めて聴く…を繰り返し、完成型として納得が出来たら、他のメンバーに譜面を渡し、リハを開始…というパターンです。


     
      ▲Dr.Mikannibal


お:『GRAVEWARD』を聴いてまず思ったのは、「とにかく情報量が多い!」ということでした。各曲には文字通り様々な楽器や声や“音”が詰め込まれていますが、曲を書いている段階で、そういった諸要素はもう頭の中で鳴っているのでしょうか?

川嶋:これは大体、MIDIで打ち込み → 聴く → 打ち込み修正 → 聴く…というサイクルの中で、情報過多になっていくことによります。前作の『IN SOMNIPHOBIA』は、どちらかというとそのサイクルの中で、その気持ちを何とか抑え、故意に、意識的に情報量を削っていく方向性に持っていったんですけど、今回は、素直に詰め込めるだけ詰め込もうと思いまして。エクストリーム・メタルというジャンルに属しているのに、適度に処理をするというのでは、面白くないですからね。

お:それにしても、これだけ音要素が多いと、ミックスが大変だったのでは…?

川嶋:今回は、ミックスを大島が手掛けたのですが、彼は大変だったと思いますよ。そもそも、ギター、ベース、ドラムという、ヘヴィ・メタルの基本的な楽器で、高音から低音まで完全にカヴァーしているにもかかわらず、そこに、やはりこちらも全音域をカヴァーしているフル・オーケストラをぶつけようとしているワケですから。通常の観点からすると、そもそもアレンジメントの方法を誤っている…ということになるのかもしれません。結局、音同士がぶつかり合うことになって、1+1が2ではなく、1以下になってしまう可能性も充分に考えられます。殆ど毎日、数ヵ月に亘ってミックス作業をしてもらったので、彼はもはや、このアルバムを聴くのもウンザリという状況かもしれません。


     
      ▲原島淳一


                     [パート2に続く…]
by naniwametal | 2015-06-02 01:52
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